厚生労働省の統計情報・白書によると、2019年のリスク要因別の関連死亡者数は、1位が高血圧(196.4千人)、2位が喫煙(187.2千人)、3位が高血糖(100.8千人)であると公表されています。※1 ※2
つまり我が国における死にいたるリスクファクターは高血圧が1番多い状況にあることが分かります。このことから、健康的で活き活きとした人生を送るためにも、生活習慣を整え高血圧を予防していくことは、肝心(腎)要なこととしてとても重要になってきます。
では具体的に高血圧はどのような病気を引き起こすのかを次に述べていきたいと思います。血管の壁は本来弾力性があります。しかし、血圧が高い状態が続くと血管に負担がかかります。すると血管が硬くなり、血液の流れ悪くなります。やがて、脳、心臓などでさまざまな病気を引き起こします※3。まず、脳では、脳血管が破裂する脳出血や、脳血管が詰まる脳梗塞がおこります。次に心臓では、高血圧により心臓に負荷がかかります。心臓が血液をどんどん送り出そうとして心肥大が起こり、それが進むと心不全がおこります。また、動脈硬化によって狭心症や心筋梗塞の恐れがでてきます。狭心症は心臓の血管が狭くなり、血液の流れが悪くなることです。心筋梗塞は心臓の血管に血栓ができて血管が詰まり、血液が流れなくなって心筋の細胞が壊れてしまう病気です※4。さらに、高血圧は腎臓にも影響を与えます。腎臓は血管のかたまりのような臓器です。高血圧で動脈硬化が進むと腎硬化症、さらに進むと腎機能が著しく低下する腎不全になります。人工透析をする必要もでてきます※5。
では、高血圧を予防するにはどのようにしたら良いのか。今回は食事に焦点をあて、話していきたいと思います。高血圧を予防するためは、食塩摂取量の制限が必要です。厚生労働省によると、健康な日本人の成人男女が当面目標とすべき1日の食塩摂取量は、各々7.5g未満と6.5g未満といわれています。7.5gは濃口しょうゆに換算すると小さじ約8杯弱、6.5gは約7杯弱と言われています。そのため、しょうゆやソースは「かけず」に「つける」といった小さな心がけでも減塩につながります※6。
また、野菜や果物、大豆に含まれるカリウムには食塩を排泄しやすくする働きがあります。このことは高血圧が引き起こす腎不全を防ぐことに繋がります。以上のことを踏まえて厚生労働省は、以下のことを推奨しています。
1.漬物は控える。
2.麺類の汁は残す。
3.新鮮な食材を用いる。
4.具だくさんのみそ汁にする。
5.むやみに調味料を使わない。
6.低ナトリウムの調味料をつかう。
7.香辛料、香味野菜や果物の酸味を利用する。
8.外食や加工食品を控える※7。
健康測定会の血圧ブースの様子(上写真)
高血圧は自覚症状に乏しいのが特徴です。成人に達して発病しますが、発症まで徐々に血圧が上昇するので生体は慣れを生じます。しかし、発症が急激であればあるほど自覚症状は重くなります。以上のことから「血圧」はバイタルサインすなわち「生命兆候」の一つであるため、計測をして変化を確認し可視化することが重要です。
ヘルスサポートでは定期的な健康測定会を行っており、その中で高精度の自動血圧計とアネロイド血圧計を用いて血圧測定を行っています。ご自身の血圧管理に是非名桜大学ヘルスサポートの健康測定会を利用してみてはいかがでしょうか。
【参考文献】
1)厚生労働省(2019)図表8-4-2 リスク要因別の関連死亡者数(2019年)
https://www.mhlw.go.jp/stf/wp/hakusyo/kousei/21/backdata/02-08-04-02.html
(参照日 2023年10月9日)
2)Nomura S, Sakamoto H, Ghaznavi C, Inoue M: Toward a third term of Health Japan 21- implications from the rise in non-communicable disease burden and highly preventable risk factors. The Lancet Regional Health – Western Pacific 2022, 21
(参照日 10月9日)
3)日本臨床検査医学会(online)高血圧疾患
https://www.jslm.org/books/guideline/05_06/238.pdf
(参照日 2023年9月20日)
4)厚生労働省(2022)狭心症・心筋梗塞などの心臓病
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/metabolic/m-05-005.html
(参照日 2023年9月20日)
5)生活習慣病オンライン(2014)放置すると怖い高血圧
https://www.sageru.jp/bloodpressure/knowledge/scare.html
(参照日 2023年9月20日)
6)厚生労働省(2020)栄養食生活と高血圧
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/food/e-02-002.html
(参照日 2023年9月26日)
7)厚生労働省(2023)eヘルスネット 高血圧
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/metabolic/m-05-003.html
(参照日 2023年9月20日)
担当:名桜大学ヘルスサポート東江圭祐、柴原由美子、里島朱音