vol.7 ヌメリ成分が健康を守る ー沖縄もずくー

 ネバネバやヌメリがある食品は体に良いといわれます。オクラや納豆、ヤマイモなどがその代表ですが、沖縄の日常的な食卓ではこれにモズクが加わります。ネバネバやヌメリのもととなっている粘性物質はある種の多糖類やたんぱく質であることが多く、沖縄モズクには多糖類の一種で“フコイダン”と呼ばれる水溶性食物繊維が多く含まれています。

  • シークヮーサーもずく

    写真提供:カネリョウ海藻株式会社

  • 伊是名島のもずく

    写真提供:ちゅらゆーな株式会社

 食べ物に含まれる成分のうち、ヒトの消化酵素では分解できない成分を食物繊維といいます。食物繊維の一部は水に溶ける性質をもつ水溶性食物繊維で、これが腸内細菌の働きで短鎖脂肪酸に変えられることで腸内環境が良い状態に保たれるということが、最近の研究で分かってきています。腸は、体の外から口を通して入ってきた物質が体内に吸収される入口とも言え、免疫学には腸管免疫という言葉があります。腸内環境を良い状態に保つことが健康維持と美容に役立つとして、“腸活”というキーワードを伴って水溶性食物繊維の上手なとり方に高い関心が寄せられています。

  • 沖縄もずくと豆腐の味噌汁

    写真提供:ちゅらゆーな株式会社

  • 伊是名産モズクの養殖と収穫

    写真提供:ちゅらゆーな株式会社

 健康維持のためにも毎日食べたい沖縄モズク。沖縄県健康産業協議会の会員企業も様々な工夫をして、食生活への提案をしています。また、沖縄モズクから抽出されたフコイダンは、健康維持をサポートする高い機能性をもった健康素材として、アメリカやアジア各国にまで提供されています。
 沖縄モズクの研究開発はさらに進められています。モズクを採る漁師さんの手はすべすべしているというエピソードが聞かれますが、モズクのフコイダンは天然保湿因子(NMF)でもあり、フェイスパックなど、スキンケア化粧品にも利用されています。また、もずくは褐藻類に属する海藻で、その褐色の色素も優れた機能を持っています。その色素はフコキサンチンと呼ばれ、緑⻩色野菜に多く含まれるβ‐カロテンと同系統の抗酸化物質です。強い紫外線の下で生き抜く色の濃い植物のグループに沖縄モズクも含まれます。研究が進むにつれいろいろな機能性が明らかになってくるでしょう。

(一社) 沖縄県健康産業協議会 専門コーディネーター 照屋 隆司(日本臨床栄養協会認定 NR・サプリメントアドバイザー/農学修士)