vol.10 ウコンの魅力を知るもう一つの視点

 ウコンは沖縄の健康食品の代表的存在です。沖縄県の健康食品文化はウコンを旗頭にして発展してきたといっても過言ではないでしょう。ウコンは琉球王朝時代に王府によって専売化されていたという歴史があります。東南アジアとの交易によってウコンが琉球に持ち込まれ、島内で栽培されるようになり、琉球王朝の財政を支える作物として重視されたとのことです。ウコンは染料として、香辛料として、そして民間薬としても利用できる用途の広い高価な資源でした。現代においても、ターメリックとしてカレー粉の原料として利用されるほか、天然の食用色素としても利用されています。ウコンは生薬として日本薬局方にも収載されています。

  • 写真提供:株式会社沖縄美健販売

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 健康食品としてのウコンは、お酒を飲む時に利用するものというイメージが定着しています。しかし、それだけではウコンの良さが十分に生かされているとは言えないのではないかと思います。ウコンの機能性成分としてよく知られるクルクミンは、強い抗酸化力を持つ物質です。ある物質を抗酸化物質としてみることは、一つの物質に特別な効果効能を期待するというよりも、生活の中で多種多様な抗酸化物質を取り入れることで体内の様々な場所での過剰な酸化反応を抑える、その一アイテムとして活用する。そういう評価の仕方ではないでしょうか。

 自然界の物質を区分する一つの分け方として、水に溶けやすいか(親水性)、それとも油に溶けやすいか(親油性または疎水性)という性質の違いによる区分があります。人の体内は、親水性の物質と親油性の物質がそれぞれの役割を持ちながら適材適所に共存して健康が守られています。

 健康維持に役立つといわれる抗酸化物質も水に溶けやすいものと、油に溶けやすいものがあります。そしてそれらは、体内の水の部分と油の部分でそれぞれの抗酸化力を発揮するのです。

 ウコンのクルクミンは油にとけやすい、親油性の抗酸化物質です。クルクミンと同じく油に溶けやすい抗酸化物質としては、緑黄色野菜のβ‐カロテン、かんきつ果実のβ‐クリプトキサンチン、エビやカニのアスタキサンチン、モズクのフコキサンチンなどがあります。他方、水に溶けやすい抗酸化物質としてはアセロラやグアバに多く含まれるビタミンCや、桑の実や紅芋、ブルーベリーなどに含まれるアントシアニンがよく知られています。健康維持のためには、油に溶けやすい抗酸化物質と水に溶けやすい抗酸化物質をバランスよく、そして効率よく摂取したいものです。ウコンのサプリメントはそういう意味で、油に溶けやすい抗酸化物質を低カロリーで効率よく、手軽に補えるという魅力があります。

(一社) 沖縄県健康産業協議会 専門コーディネーター 照屋 隆司(日本臨床栄養協会認定 NR・サプリメントアドバイザー/農学修士)